天気予報でよく耳にする「降水量」は、雨の量を示すもので、その単位として「ミリ」が使われます。
この「ミリ」という単位がどういう意味を持ち、どのように測られるのか、普段あまり意識することはないかもしれません。
また、降水量1ミリとは具体的にどれくらいの量なのでしょうか?
今回は、降水量を示す「ミリ」という単位について、その意味と測定方法について詳しく解説します。
降水量の単位「ミリ」の意味とは?
降水量とは、降った雨が流れ出したり地面に吸収されたりせず、そのまま地表にたまった場合の水の深さを表します。
水の量を示す単位として「ミリリットル」などを思い浮かべるかもしれませんが、降水量は「ミリメートル(mm)」という単位で表されます。
「ミリメートル」の「ミリ」とは「ミリメートル」の略で、一般に「ミリ」と呼ばれることが多くなっています。
これは「ミリメートル」よりも短くて覚えやすいからです。
気象用語では、風速の単位「m/s(メートル毎秒)」を「メートル」と略すなど、一部を省略して表現することがあります。
気象庁では、誤解が生じないよう意見を取り入れながら、こうした省略を使用しています。
意味が伝われば、簡潔でわかりやすい表現が良いですね。
以下に、ミリメートルのメートルを省略するする理由を気象庁などが公開していますので引用します。
降水量の単位は「ミリメートル」なのに「メートル」を省略して「ミリ」と言っているのはなぜですか?
気象庁では、風速の単位は「m/s(メートル毎秒)」、降水量の単位は「mm(ミリメートル)」を用いており、統計資料を示す場合は、正確な単位表現を用いています。
一方、気象情報では、社会一般での使われ方や字数制限のある情報内での利用を考慮して、風速の単位の「メートル毎秒」を「メートル」、降水量の単位の「ミリメートル」を「ミリ」とするなど、一部を省略した単位表記を行っています。
これらの表記は、誤解されることがないよう、報道機関などのご意見を聞いて決めています。
「国土交通省・気象庁」公式サイトより引用
降水量と降雨量の違いについて
「降水量」という言葉に似た表現に「降雨量」がありますが、両者には微妙な違いがあります。
降雨量はその名の通り、降った雨の量だけを指します。
一方、降水量には、雨だけでなく雪や雹(ひょう)、霰(あられ)、霜(しも)なども含まれており、これらをすべて水に換算した量を示します。
また、降った雪の量を表す「降雪量」という言葉がありますが、これと混同されがちなのが積もった雪の量です。
積雪量は、降った雪を水に換算して表します。
降水量の測定方法
これらの区別を覚えておくと、気象に関する情報を理解する際に役立ちます。
では、降水量はどのように測定されているのでしょうか?
気象庁では、直径20cmの受水器を備えた専用の雨量計を使用しています。
この雨量計は「転倒ます型」と呼ばれるもので、0.5mmの雨がたまると、ますが一度転倒する仕組みになっています。
この動作により、降水量が0.5mm観測されたことになります。
ますの転倒回数を数えることで、降水量が計算されます。
例えば、ますが10回転倒すれば、5mmの降水量となります。
また、雪やあられなどの場合は、まず受水器に集めてから水に溶かし、その後転倒ますに注いで測定しています。
降水量1ミリってどのくらい?
天気予報で「1mmの雨が降りました」と耳にすることがありますが、この1mmの雨とはどれくらいの量を指しているのでしょうか?
簡単に言えば、1時間で地面に1mmの水がたまる程度の雨が降水量1ミリに相当します。
計算式で表すと、
降水量(mm) = 貯まった雨の量(mm³) ÷ 容器の表面積(mm²)
となります。
この計算式によると、1㎡(1m×1mの面積)に1時間で約1ℓの雨がたまる場合、降水量は1mmとなります。
この時、箱にたまった水の深さは1mmです。
なお、降水量1mmは正確に1.0mmではなく、1.0mmから1.9mmの範囲があります。
同様に、降水量0mmも実際には0.0mmから0.9mmの範囲を含みます。
気象庁では、降水量の小数点以下を切り捨てて表示するため、実際には少し幅が広がることがあります。
理論上の降水量1ミリはこのような感じですが、体感的には傘をさすかどうか迷う程度の雨で、アスファルトが湿るくらいの量です。
降水量の単位「ミリ」の意味と測定方法のまとめ
今回、降水量の単位「ミリ」の意味とその測定方法について解説しました。
要約すると、降水量の「ミリ」とは「ミリメートル(mm)」のことで、気象庁では専用の雨量計を使って測定しています。
また、降水量1ミリとは、1㎡(1m×1mの面積)に1時間で約1ℓの雨がたまる量を意味し、体感的には傘をさすかどうか迷うくらいの雨です。
降水量1mmの範囲は1.0mmから1.9mmとなっています。
最後までお読みいただきありがとうございました。