メスのセミが鳴かない理由と聴覚の謎

生活

夏の時期に聞こえるセミの鳴き声は、オスに限られています。

メスは一切鳴かないのですが、その理由は何でしょうか?

また、メスには耳が存在するのか、そして彼女たちには音が聞こえるのかについて探求してみました。

なぜセミは鳴くのか

鳴くセミはすべてオスであり、その大きな目的は繁殖です。

オスは鳴き声でメスを自分のいる場所へと誘います。

この鳴き声によってメスはオスのもとへと集まり、そこで交配が行われます。

オスだけが鳴く理由は、単純に彼らだけが発音器官を持っているからです。

一方、メスにはその器官がなく、代わりに産卵に特化した構造を持っています。

セミはどのように音を聞くのか

セミの鳴き声は非常に大きいですが、セミ自体の聴覚には限界があります。

過去の実験で、セミは大きな音にも反応しないことが示されました。

このことから、セミは特定の音のみを聞き取ることができると考えられています。

実際、多くの昆虫が聴覚の代わりに触角を用いていますが、セミは耳を持ち、特定の周波数の音に反応することが可能です。

しかし、人間には聞こえる大砲の音のような低周波数の音は、セミの聴覚範囲外です。

集団で鳴くセミの行動原理

セミが一斉に鳴き始める現象は自然界でよく観察されます。

これを「連れ鳴き」と呼び、特に広大な森林などでは効果的です。

個々のオスが単独で鳴いてもメスを効率よく引き寄せられないため、多くのオスが協力して鳴くことでその鳴声が遠くまで届き、メスを効果的に誘います。

ただし、連れ鳴きをするセミ全てではなく、特定の種類、例えばツクツクボウシやアブラゼミ、ニイニイゼミは一匹で鳴くことが多いです。

セミの成長期間と生態

セミのライフサイクルでは、卵の状態で約1年、幼虫の期間が2年から7年と非常に長く、対照的に成虫の寿命は1週間から1カ月と短いです。

土中で過ごすこの長い期間、セミは木の根から樹液を摂取して生きていますが、この食事は栄養価が高いわけではなく、成虫になるまでに時間が必要です。

土中での生活期間はセミの種類や生息環境によって異なるため、一概に「セミは土中で7年」とは言えず、種類によっては2年から5年、あるいは1年から2年の幅があるとされています。

セミの羽化時には慎重に!

セミが羽化する過程はデリケートで、時間もかかります。

うまく羽化できない個体も多く、触れたい衝動に駆られるかもしれませんが、触れないようにすることが重要です。

事実、羽化が成功するセミは全体の約40%に過ぎません。観察時には、この低い成功率を意識して子供たちに説明すると良いでしょう。

また、羽化後のセミも非常に脆く、最小の衝撃でも大きなダメージを受ける可能性があるため、触ることは絶対に避けるべきです。

日本の主要なセミの種類について

日本では約30種のセミが確認されており、その中でも特に6種類が一般的です。

以下に、国内で広く観察される主要なセミの種類を紹介します。

アブラゼミ

アブラゼミは、北海道から九州にかけての公園や街路樹に普通に見られる種類です。

7月から10月にかけて活動的で、その鳴き声は「ジリジリ」という特徴的な音です。

体長は約60mmで、暗色の体に茶色の翅が特徴的です。

都市部では減少傾向にあり、鳥に捕食されやすいことが原因とされています。

ミンミンゼミ

ミンミンゼミは、北海道から九州に広がる落葉広葉樹林に生息し、特に山間部に多いです。

体長は55~65mmで、緑や水色の模様が入るのが特徴です。

彼らは「ミンミンミン」という声で知られ、7月下旬から10月にかけて鳴きます。

ツクツクボウシ

ツクツクボウシは、市街地から森林まで広く分布しており、7月から10月にかけてその声が聞かれます。

体長は40~47mmで、緑色の細かい模様が特徴。

 人の近づきに敏感で、接近すると鳴き止むことがあります。夏の終わりに最も多く見られるため、「夏の終わりのセミ」とも呼ばれます。

ヒグラシ

ヒグラシは日本全土に広く分布し、特に夕方や早朝に活動する中型のセミです。

体長は40~50mmで、頭部と胸部に緑の模様があります。

その金属的な「カナカナ」という鳴き声は、他のセミと比べて落ち着いていると評価されることがあります。

ニイニイゼミ

ニイニイゼミは北海道から九州に広がり、特に湿度の高い環境を好みます。

体長は30~38mmと比較的小さく、透明感のある翅に黒や茶色の模様が見られます。

彼らは「チー」「ジー」という声で一日中鳴き続けることがあります。

クマゼミ

クマゼミは関東以西の地域でよく見られ、特に公園や街路樹で観察されます。

体長は60~70mmで、大きな体と黒っぽい色が特徴です。

午前中に特に活発に鳴き、その声は「シャーシャー」と響きます。

光ファイバーケーブルに卵を産む習性があり、かつては通信障害の原因となっていましたが、現在のケーブルは対策済みです。

まとめ

セミが鳴く理由と彼らの特性についてまとめます。

鳴いているのはオスのセミだけで、これは子孫繁栄のため、メスを誘引する求愛行動です。

メスには鳴くための器官がなく、産卵管を持っています。

セミは耳があるものの、特定の周波数の音しか聞こえないため、大砲の音などは聞こえません。

また、セミは幼虫期間が長く、成虫の寿命は短いです。

セミの羽化はデリケートで、失敗することも多いため、触れないよう注意が必要です。

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